不遇の名機? ニコマートEL

Nikomat EL Black Ai ニッコール35㎜ F1.4 装着状態
ストラップ Tボタンも純正
こんにちはノブノブです
皆さん「ニコマート」というカメラのブランドをご存知でしょうか
Nikomat と書きます
ニコンがプロ用カメラ「ニコンF」と並行して、1960年代~1970年代普及機の一眼レフブランドとして展開していたのが「ニコマート」です
バージョンはいくつかありますが、「Nikomat FT、EL」の2系統が展開されました
「ニコマート」が不遇な理由
「不遇」と言っているのは私だけかもしれません
普及機として、販売実績もそれなりにあったと思われます。「ニコン」は高額でしたが「ニコマート」は買いやすかったので、多くの人々に愛されたと思います
もちろん、すべてのニッコールレンズも使えるので、ニッコールレンズの描写力を思う存分堪能できますし。
実は私もニコマートはあまり意識の中にありませんでした。
憧れの対象が「ニコン」だったからです
ところが最近、ジャンクの「ニコマートEL」を衝動買いし、不具合の部分を自分で調整し使ってみたら、とても良くできたカメラとあらためて感心したのです
そこで、このカメラの事をいろいろ調べようと資料を探してみると、ほとんど取り上げられていないことに気づき驚きました
所有するクラシックカメラの書籍で、「ニコマート」はほとんど登場しません。
ニコンFの一桁シリーズ、他にはFM、FEシリーズの記事ばかりです
同じ普及機でも「ニコンEM」の方がまだ出番が多いようです
「ニコマート」は忘れ去られてしまった感があります

私が所有するクラシックカメラの書籍の一部。
ニコマートはほとんど紹介されていない。

国産カメラ721機種が掲載されているがニコマートは全く掲載なし
1977年レンズとの連動がAi化されたのを機に「ニコマート」も「ニコン」に格上げ(?)され、最終機「ニコンEL2」をもってブランド名としては姿を消します
「ニコマートEL」はニコンが初めて自動露出を採用した一眼レフで、ニコンF3に先駆けること3年。
そんなニコンの歴史的カメラでもあり、また作りとしても素晴らしいカメラであるだけに、もっと取り上げられても良いと思うのです
ほぼ同時期にオリンパスOM-1が発売され、普及機が一挙に小型軽量化された時代です。憧れの「ニコン」の影に隠れ、軽量化の波に取り残された「ニコマートEL」は、もともと評価の低いカメラだったのでしょうか
僭越ながら私が「ニコマートEL」を再評価しましょう
「ニコン」らしさバリバリの「ニコマートEL」
普及機とは言え、やはりニコンが作るとこうなる・・
- 頑丈で精密なつくり
報道写真や戦場でのラフな仕様でも壊れないといったニコン一眼のノウハウがこのカメラにも受け継がれていると思います。総金属仕上げで、各部のアソビやガタツキは極めて少なく工作の精度が高いことを直感できるでしょう。重さはありますが、かえって重量級のレンズとのバランスも良好です。 - 妥協のない操作感
金属仕上げによるところもあり、ダイアルのクリック感、巻き上げのスムーズさ、シャッターの軽快感などなど、フィルムカメラの良さをひしひしと感じられるのが嬉しい - 非Aiレンズもターゲット
ボディとレンズの連携はマウントに突き出た連動ピン。いわゆる「カニ爪」さえあれば新旧の膨大なニッコールレンズが使えます。比較的安く手に入るAi以前の銘ニッコールもターゲットに入ってくるのでニコン描写を存分に楽しめます。装着時に行うガチャガチャ儀式を楽しめるようになったら完全なニコン病

「ニコマートEL」はマニュアルを多用したい
ニコマートELは自動露出(AE)カメラです
普通ではAEで使った方が便利です
しかし、このカメラには露出補正機能がありません(このあたりが普及機らしい。AEロックもありますが表示が連動しない)
当時の取り扱い説明書には、ASA(ISO)感度ダイアルで、露出補正をするように説明されていますが、ASAダイアルにはロックボタンがあり、いちいちロックボタンを解除する操作が煩わしいのが実情です

作品つくりに、露出補正を多用する私にはこれは致命的です
しかし、このカメラはマニュアル操作がとても使いやすい
ファインダ内の露出計表示がいわゆる「追針式」です。
レンズの絞りリングを動かすとファインダー内で黒い針が動き、適正なシャッター速度を指します。
ボディ上のシャッターダイヤルを回すと、ファインダー内の赤い針が動きます。
この赤い針と黒い針の誤差が露出補正値となります
例えば、赤い針が上に行けばマイナス露出(露出アンダー)。赤い針が下に行けばプラス露出(露出オーバー)。
針間の微妙な差が直感的に把握でき、そのまま露出補正なります

フィルムカメラの良さが味わえる「ニコマートEL」
- フィルム巻き上げ感覚が心地よい
フィルムを装填すると巻上フィーリングが重くなったり、ガリガリを感じる機種もよくありますが、ニコマートELは軽快なまま最後まで巻上フィーリングが変わりません。これはフィルムカメラにとって最も重要な名機の条件の一つとおもいます。文章では伝わりずらいですが良い巻き上げフィーリングは「快楽」に近いです - シャッター音が優しく軽やか
ニコンの一眼レフはシャッター音が甲高く、音が大きいというイメージがあります。しかし「ニコマートEL」は他のニコン一眼に比べてやや柔らかく、軽やかなシャッター音と思います。シャッター音は個人の好みが出るところなので好き嫌いはあるかもしれませんが、優しいシャッター音好きの私でもニコマートELの音は好きです - 特別明るくはないがわかりやすいファインダー
先ほどご説明した通り、ファインダー内の露出計表示は追針式でとても分かりやすいです。自動露出でもマニュアル露出でも直感的に操作できシャッターチャンスに強いと思います。またスクリーンは一般的な明るさですが、中央のマイクロスプリットイメージと併せピントの山はつかみやすいファインダーです。
ニッコールレンズの描写力
誰しもが認めるニッコールレンズの描写力。
主に報道主体・特に新聞印刷を意識して色調が作られてきたといわれるニッコールレンズ(本当かどうかはわかりません)。
カリカリ・ガチガチなどの表現も散見され、コントラストが強くとてもシャープな描写が特徴です。
確かに、風景やスナップで「劇的」な仕上がりの印象を受けることは多々あります。
対してポートレートや商品撮影には素直な描写のキヤノンレンズが有利と言われていました。被写体に応じてこの2巨頭がプロの世界を2分していた時代が続いたものです
さて、どうでしょうか? 私の作例でニッコールを感じていただけるでしょうか?

日陰でやや暗い場所ですがコントラストも充分

開放では二線ボケ傾向がみられるがニッコールらしいコントラスト。ピンボケはご愛嬌

当レンズは開放ではぐずぐずの画像になるが、少し絞るだけでも目覚ましく画質があがる

暗い路地での撮影。ニコンらしいかっちりとした描写。このレンズは大好き

ニッコールらしいシャープネスと強いコントラスト

中古カメラ屋で探してみましょう
いかがでしょうか。機械・道具としての精度や作りの良さを味わいながら、ニッコールレンズの描写を満喫でき、フィルムカメラの感触を存分に感じることができる「ニコマートEL」。
私の購入した個体はジャンクで5,500円でした。
ボディの絞り連動ピンが油で固着して動かなかったのと、ファインダースクリーンのゴミが多かったのでジャンク扱いでしたが、外観もきれいで、電池室の錆もなくテスト電池をその場で購入して試したらシャッターは正常でしたので、うまくいけば・・と思い購入しました
購入後、連動ピンは自身でマウント部を分解し固着油をふき取り、新たにグリスアップしました。ファインダースクリーンはフランジボックス側からを外し、丁寧に清掃し、併せてミラーのクモリをふき取ったら見違えるようにきれいになりました。
(※WEB上で分解・修理清掃例は多く閲覧できます。自信のない方は修理専門店に依頼しましょう。自分での分解修理等は自己責任で行ってください)
保存状態にもよりますが、当時多く販売されたカメラですので、状態の良い当機も多く見つけられるとも思います。フィルムカメラを楽しみたい方は一つの候補として考えてはいかかでしょうか
※後継機の「ニコンEL2」なら露出補正機構が追加され、レンズとの連動もAi方式に変更されたので、この機種を探すのも選択肢です。































































