こんにちは。ノブノブです。
これからは私が使っているカメラや機材も紹介していきます
40年以上写真を続けてきたので、使ったカメラの種類も豊富です。
若いころはお金がなかったので(今でもないですが・・ (笑))、
使ったカメラの一部は、新しい機材を買うために下取りに出してしまい
今は手元にないものも多いですが、残ったカメラは手放し難いものばかりです。
なぜ、「そのカメラが私にとって良いカメラなのか」を紹介していきたいと思います
今日は、そんなカメラの代表格、キヤノンF-1です
どんな時も撮影者の期待を裏切らないカメラ
キヤノンF-1は、とってもシンプルなカメラです。
- シャッターダイアルと、絞りリング、露出計しかついていません
- 電池がなくともちゃんと写真が撮れます(露出計は作動しません)
- 基本構造、ボディはほとんど金属でできているので、非常に頑丈です
このカメラは、メカニカル・完全マニュアルカメラです
メカニカルカメラとは、シャッターや絞り、ピントの作動に電池を使わないカメラのことです。ですから露出やピントを合わせるときは、すべて撮影者が一つ一つ作業・調整(マニュアル操作=手動操作)します。自動のところは一か所もありません。
今は自動でないカメラを探すことはできません。ですから何故こんなカメラが良いカメラなのか理解できない方も多いと思います。
自動カメラは実は根本的なデメリットがあります。そのデメリットがかなり問題です
- 電池がなくなると全く動かない(撮影できない)
- 電池は寒い所には弱く、動作が不安定になる
- カメラが自動で撮るので、自分の意図した結果とは別の結果になることが多い
私も自動カメラはたくさん使っていますので、とうぜんメリットも多く感じています。しかし実際撮影中に電池切れし、充電場所を探すまで全く撮影できなかった経験もあります。
メカニカルカメラの良い点は、電池がなくても、またどんな環境下でも撮影ができる点にあります。
当然完全マニュアルカメラなので、絞りやシャッター、ピントの操作を誤ると、写真は撮れていても失敗していることもあるわけです。言葉を変えれば、自分の操作の上手い下手をそのまま写真にしてしまうカメラなのです。
しかし長年愛機として使用し、各部の操作に熟達してくると、どのような状況でもしっかり作動し、自分のイメージをカメラに即時反映させることのできるのです
そうなると、このカメラは撮影者の信頼を全く裏切らない至高のカメラになります。
私がキヤノンF-1を好きな理由
その1。測光方式
キヤノンF-1は、中央部部分測光です。これは画面の中央部12%の範囲のみ光を測るのです。この測光方式は実は他のカメラではあまりお目にかかりません。
一般的な「中央部重点平均測光」や「スポット測光」とも異なります。
「中央部重点平均測光」は、画面の中央を重視しますが、画面全体の光も測ってしまいます。また「スポット測光」は画面中央約8%程度の範囲のみを測っています。
逆光など「光を捉えることを重視する」私の写真では、この12%の光だけを測る測光方式は非常にありがたいのです。
平均測光では主題の光が曖昧のなりますし、スポット測光では逆に周囲の状況が捨てられてしまいます。
私にとっては、この広すぎず狭すぎずの部分測光が非常に適した測光方式なのです。
その2。ファインダーに見やすさは特筆もの
ファインダーをのぞいた時に、すっきり見える感じが素晴らしいのです。
このカメラよりも後に出たNikonのF3と比べてみても、優れていると思います。逆光などの撮影時に、ファインダーの中で出るフレアーが少ないのだと思います。この当時のカメラですからやや暗めの望遠レンズなどを装着すると、さすがにピント合わせが少々困る時もありますが、慣れれば問題ありません。
(その後ミノルタなどが「アキュートマット方式」と言われるファインダーを開発して、さらに明るいファインダーを実現しました。)
また、ファインダー内の露出計の表示が、追針式といって2本の指針が上下に動き、その2本の針が重なった時が適正露出とわかる方式ですが、絞りの指針が丸型で、シャッターの指針が一本棒になっています。
私はよくアンダー撮影をしますが、この指針が真ん中で重ならず、円の淵で重なるようにすると、0.5絞り分の補正になるようになっています。
この微妙な露出補正がファインダーを覗いたままできるので、非常に便利なのです。
その3。プレビューがやりやすい。
撮影時の被写界深度をよく確認します(これをプレビューと言います)。
これは作画上非常に重要なことですが、キヤノンF-1はカメラを構えたまま、レンズを保持する左手の中指か薬指でセルフタイマーレバーをレンズ側に押し込むだけで、被写界深度を確認できます。カメラを縦位置に構えた場合でも、右手の中指で押し込むだけで確認できます。
つまりカメラを構えた状態のまま、指の移動が最小限で操作できるのです。
スナップ撮影などでは、この「カメラを構えたまま、ほとんど指を動かさずに確認操作ができる」というのは非常にありがたい機能です。
実際に現在のEOSなどでは、マウント左下部にプレビューボタンが移動しましたが、カメラを構えている指を大きく移動させなければ出来なくなってしまっています。
こんな些細なことのようですが、作画をするための道具としてのカメラを考えるとき、本当によくできたカメラであると思います。
その4。シャッター音がおとなしい
シャッター音は好き嫌いがはっきりします。
よくニコンの当時のカメラと比べる方が多いです。ニコンは機械的な「カシャン」という音が鳴り響きます。ニコン派はこの音が好きな方が多いようです。一方キヤノンF-1は、「ポシャ」とでもいうようなおとなしい音です。
スナップ写真は、街頭に出て見知らぬ人物を撮ることも多いのですが、そんな時に盛大なシャッター音が鳴り響いては、無用な警戒心を引き出してしまいます。
スナップを実際に撮る方は、シャッター音は結構重要な問題です。ライカのMシリーズを使う方の多くは、あのシャッター音の小ささも重宝していると思います。
キヤノンF-1は一眼の中では、比較的小さめの音なので、スナップには適したカメラだと思います。
キヤノンF-1で困ることもある
以上挙げた4つの優れた点の他にも、このカメラの素晴らしい特徴は多々あります。
例えばデザインが素晴らしいこと。レンズの写りが素晴らしいこと(下記の記事を参考)などなど。
しかし、困ることもあります。
その1.レンズフードが弱い
このシリーズのFDレンズ用に用意されている専用フードは、バヨネット式と言い、フード内側にあるプラスチックの押えで、レンズにしっかり装着されるようになっていますが、この押さえが装着を繰り返しているうちに、摩耗してしまいガタガタになってしまいます。
私もよく、中古カメラ店などで専用フードを探して歩きましたが、出ているほとんどのものが、ガタガタになっていました。
ならば、他社の汎用フードを買ってきてつけれなよいようなものですが、デザイン的に満足しないのです。やはり専用フードのデザインの収まりは非常に良いと思います。
そこで、自作や代用品を探すことになります。苦節〇十年、FDレンズ各種にいろいろなフードを使ってきました。
一例をあげると、上のカメラの写真についているレンズはFD50㎜ F1.4ですが、実はニコンのHK-11(製造完了)というフードをつけています。
当然そのままではつけられないので、ケンコーのステップアップリング52→62をつけて、そこにHK-11をつけるという方法です。
実はこのHK-11は、そのままでは内側のカシメゴムが邪魔して、62㎜のステップアップリングに装着できません。
そこで、3つあるカシメゴムの一つを、カッターなどではがして、もっと薄い1ミリ程度の厚さのゴムを、同じサイズに切って両面テープでくっつけることにより、問題なく装着できるようになりました。薄いゴムはホームセンターなどで購入できます。
デザイン的にも気に入っていますし、PLフィルター装着時の操作が非常にやりやすくなりました。
その2。今は電池が入手困難
メカニカルカメラなので、電池はなくとも写真は撮れますが、露出計は動かなくなります。やはり微妙な光の状態では露出計が作動してくれたほうが、とても助かります。
H-Dタイプの電池を使いますが、古い電池なので国内ではとうに製造中止になっています。入手は海外の同タイプ電池か、またはアダプターをあてがって現用LR-44電池を入れる形か、どちらかになります。
どちらでもよいと思いますが、アダプターを入れるとその厚みのために、電池室の蓋が少々浮きます。問題ありませんが気になるので、手に入るうちは同じタイプであるV625Uを、おすすめします。
機会があったらキヤノンF-1を手にしてみて下さい。持つ喜び。
いかがでしたか、キヤノンF-1愛が大きいので、長々と書いてしまいました。
中古でも結構程度の良いものも見つかります。今はフィルムカメラが人気が落ちていますので、こんな名機でも結構入手しやすい価格になっています。
購入するかどうかは別としても、中古カメラ店などで見つけたら、店員さんにお願いして、ぜひ手に取って触れてみて下さい。
写真を撮る道具としてのカメラという位置づけばかりではなく、保有する喜びとしての機械の仕上がりの良さにも感心していただけることと思います。
↓中古探しにはおすすめのサイトです。